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『バガボンド』は井上雄彦による漫画作品。原作は吉川英治の『宮本武蔵』。1998年から週刊モーニングで連載が開始される。途中、長期休載されることもあったが、2005年5月より再び連載が再開された。そして2006年11月の段階で、1年半から2年で終わると井上雄彦本人が言っている。

剣豪宮本武蔵の半生を軸に、江戸時代に移行する激動の転換期の武士や浪人の生き様や死に様(それぞれの武士道)、“生きる”とは何かを戦いを通して描き出す。

武芸者を主人公とし斬り合いのシーンも多く描かれているが、内容は少年誌的バトル物とは一線を画している。人間的な弱さを抱え、この世で自分が生きる意味や剣を交え戦う意味について苦悩しながら、武士として人間として成長していく宮本武蔵像や、彼と対決する武芸者たちもそれぞれに過去を背負い、それさえも丁寧に描かれている点が多くの読者の共感を呼び一大ブームを起こした。

吉川英治の小説『宮本武蔵』が原作となっているが、姉の存在が描かれていなかったり、佐々木小次郎が聾唖者(ろうあしゃ)であったりとキャラクターや物語には井上独自のアレンジが大きく加えられている。表題も原作名である「宮本武蔵」ではなく「バガボンド」となっている。ちなみに、「バガボンド(vagabond)」とは英語で“放浪者”という意味である。

また、「一コマそのままが一つの絵画として完成している」と評価されるほど井上の画力は抜群で定評がある。その評の裏では、下書きの段階で裸の絵を描きその上に衣服を着せていくという独特の作画法が用いられている。これは井上の「肉体の動きを正しくつかみたいし、見きわめたい」という思いから始まった手法である。また、鐘巻自斎の汚らしさ等を描くのに限界を感じたことから、作品途中にして完全に筆のみによって描画するようになった。このようにして緻密に描かれたその一コマ一コマが多くの読者やファンを魅了している。2003年に放送された大河ドラマの『武蔵 MUSASHI』もこの漫画のヒットから制作されたとも言われている。

なお、しばしばタイトルの類似が話題になるギャグ漫画『天才バカボン』は、もともと「天才バカボンド」になる予定だったという。二作品にそれ以上の関連性はない。

武蔵編から始まった物語は、14巻から小次郎編へと進み、小次郎編が終了する20巻から21巻の間には一年間の充電期間がとられた。その後21巻からは再び武蔵編に戻り、ロゴを変化させ、コミカルな表現を増やした。ロゴの変化については前の方がよかったという意見が多く寄せられたことを、ポッドキャストで語っている。